超特急・考

スターダスト所属、非アイドルグループ「超特急」について偏った考察をします。

超特急「Beautiful Chaser」MV〜七つの大罪についての考察〜

 

 

まだ記憶に新しいトピックだが、超特急10thシングル「Beautiful Chaser」(9/9発売)のMVが去る7/28に公開された。

 

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フジテレビドラマ「探偵の探偵」の主題歌とあって、ドラマの内容同様重さのあるダークなナンバーだ。ももクロ姐さんよろしく「feat. マーティ・フリードマン」はどうしても通過せねばならない儀式らしく、今作の至るところでマーティのこってりしたギターが鳴り響いている。
冒頭からいきなりの余談だが、筆者はこれがハードロックなのかヘヴィメタルなのかの分類に悩みさんざんネットを巡回したところ、「曲中ギターリフが鳴りっぱなしならヘヴィメタルでいいよもう!」という痛快な論旨を目にしたので、咽び泣くエレキギターを評して立派なヘヴィメタルということで決着させたい。*1

 

さて、今回のMVはキリスト教に付随する宗教的概念「七つの大罪*2をそれぞれ超特急メンバーが表現しているとの触れ込みで、公開時には8号車内に「どの罪をどのメンバーが演じているのか」についての考察が溢れた。
本ブログでも個人の見解を述べておきたい。

 

MVの構成、雰囲気

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本作のダンスは特に序盤においてボーカルをストーリーテラー的に両端に配置し、中央でダンサーが繰り広げる物語が展開されるという、全体的にミュージカルのような雰囲気の仕上がりになっている。ドラマ主題歌ということを勘案した、えんどぅ*3氏による粋な計らいといったところだろう。
全体のダークな雰囲気を重視しているためか物理的にもかなりダークな映像が続く。そのためメンバーの顔やダンスは非常に見づらく、「これで新規がつかめるだろうか…」と胸をざわつかせた8号車も少なくないだろう。

では、下記に各メンバーが担当したのではと思われる罪を記す。

1号車コーイチ→傲慢

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MV中のコーイチはソロで抜かれる際に"Take your sin, Take your end"と書かれた本を手にしている。罪を認めて終わりを受け入れろ(観念しろ)という意味合いのフレーズであり、本作のテーマであるともいえる。黙示録を持って全体のストーリーをリードするのが彼であり、元天使長でありながら天界の天使たちの3分の1を率いて反旗を翻したルシファー的ともいえる役割を担う。このルシファーの対応する罪源が「傲慢」なのである。

なお、キリスト教異端思想のグノーシス主義においてルシファーは人間に智恵を与えた善の存在*4とされる。そのため、本が智恵(を与えし者)=ルシファーを表す小道具として使用されている可能性もある。

 

2号車カイ→色欲

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特に論ずることもないのだが、メンバー随一の美肌を悩ましくまさぐるその様子から。
さて一行で終わるのもなんなので思いっきり脱線。
彼のブログには「ニキビできちゃった」などの文言が散見されるが、毎度上がっている自撮りで目を皿のようにして確認できるのは針の先でつついた程度のかわいらしいもの。比較的肌荒れの目立つ両端の1&3号車の並びにあって、いつもつるつるぴかぴかもちもちと一際輝いている。*5

 

3号車リョウガ→嫉妬

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果たされない欲望から生まれる悪性の嫉妬は基本的には人間の内面に押しとどめられ、それを抱く本人は嫉妬心を直視したがらないことが多い。嫉妬を抱いていることを認めたら、自らの果たされない欲望を叶えている他者が自分よりも高みにいることを認めることになり、さらなる屈辱を被るためである。また、一般的に「嫉妬するのは恥ずかしい(卑しい)こと」という風潮は怒りや悲しみに比べて強く、これも嫉妬が隠ぺいされがちな大きな原因だろう。

MV内でベールを被っているリョウガは、さまざまな段階で白日のもとにさらけ出すことが憚られ、ひっそりと隠匿しておきたい嫉妬を表現していると思われる。*6

 

4号車タクヤ→強欲

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タクヤはMV中、モニターの向こうから美しい手のひらをこちらに伸ばしてくる。何かをつかもうとする所作からは「もっと、もっと」という意味合いが連想されるため、これを強欲とした。個人的には欲にまみれた表情で薄ら暗く笑ってほしかったなどと思う。

 

5号車ユーキ→憤怒

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小道具や小細工が本作のユーキには必要ないことを、MVを見た皆さんならば納得されているものと思う。ソロで咆哮するシーンはあるものの、演技に頼らずとも彼の激しいダンスと復讐に燃えるかのような表情は見事に怒りの感情を表現しきっている。卓越したダンスパフォーマンスの実力が買われてのダンス一本勝負なのだろう。

 

 

6号車ユースケ→暴食

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ほとんど空っぽの瓶を何度も振っては最後の一滴を飲み込み、さらには唇を拭う様から。確かに彼は超特急一の倹約家ではあるが、けして貧乏の表現ではない。
ユースケがその美しい顔立ちをきりりとさせ、なまめかしく指で唇をなぞる際におそらく「もっと欲しい…」という副音声が聞こえたことと思う。え、聞こえませんでしたか? お宅のyoutubeおかしいと思います。

 

 7号車タカシ→怠惰

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何をするでもなくただ物憂げに椅子にもたれかかる様から。細かくは、MV序盤ではぼんやりと立っているもののそのあと座り、また終盤にだるそうに立ち尽くしている。美しいひとは気だるそうにしているだけで絵になりますね。

 


七つの大罪のどれにどのメンバーが相当する演技をしているのか、という本論については以上である。
以下、あくまで余談として記しておく。

 

補足・その他 ダンスについて

先に触れたように「Beautiful Chaser」の振り付けはおなじみのえんどぅ先生である。
このオープニングのフォーメーションが「INFINITE」の楽曲「Destiny」(2013年リリース)のそれに似ている、という指摘を友人より聞いた。

 

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【HD繁中字】130719 INFINITE - Destiny @ Comeback Stage

 

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ボーカル以外の配置、ポーズはほぼ同じといってもいい。
同じくえんどぅ氏振り付けの「POLICEMEN」では、INFINITEのサソリダンス *7をそのまま取り入れたとみられる箇所がある。

 

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(2:15あたりよりサソリダンス)

 

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(0:48あたりよりサソリダンスを取り入れたと思われる箇所)

二年ほど前にINFINITEファンから叩かれ検証動画を作られていたのを見たことがあるが、あくまで好意的に見ればダンスの振りをそのまま取り入れることについては「オマージュ」の意図があるようにも思える。超特急は初期の頃には「韓流リスペクト」を掲げており、なおかつサソリダンスを隠そうとする気も改変する気も見えてこないからだ。
しかし、いまや超特急からは韓流リスペクト色は大幅に薄れており、また今回の「Beautiful Chaser」のオープニングのフォーメーションと似ていると指摘されたver.はMVとして公開されたものではない*8とのことで、オマージュとして捉えるにはパロディされる側であるオリジナルの振りが一般的でなく、広く認知されているとは言い難い。
ひょう窃かオマージュかは昔から難しい問題である。ここではあくまで似ているとの指摘があった旨の報告に留めたい。*9


                                     了

 

 

 

*1:させてどうする

*2:これそのものが罪なのではなく、人を罪に導く可能性のある欲望や感情とのこと

*3:えんどぅ - Wikipedia

*4:いぶかしがる方は皆無かと思うが、一応本論で触れた「善の存在」としてのルシファーについて補足を。あくまでグノーシス主義が異端思想である点を忘れてはならない。この価値観が部分的にMVに持ち込まれたとしても、MV全体の世界観は正当の宗教観から成る(グノーシス主義の「七つの大罪」には、本作で6号車ユースケが担当したと思われる「暴食」が出てこない)ためにルシファーはあくまで悪の存在である。よって、このMV上で「コーイチだけは善」というような論考は成り立たない。

*5:うらやましいですよね

*6:あと、やたらセクシーである。困った。

*7:シンクロ率99.9%? 逆回転スロー映像? 韓国グループ Infinite | これってちょっと良さげかな~♪ ぷちブログ

*8:公開されているMVにはVersion AとBがあり、本稿に掲載した動画で採用されているオープニングとは異なる

*9:が、超特急を愛するがゆえに一言言わせてもらえるならば、周りの大人には本当に本当に細心の注意を払って彼らの仕事に関わっていってほしいと願うばかりである